北東北発 気象予報士&防災士によるブログ。忘れたころに、たま~に更新してます
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雲と自然の観察会 #2 ~雲の高さ~
雲と自然の観察会 #1の続きです。
場所は、八甲田ロープウェイ山頂駅~田茂萢岳周辺。
当日観測された雲をご紹介します。
当日の天気は、晴れていたものの、風が強かったため、対流雲が次から次へと流れてきて、目まぐるしく形を変えていました。 また、時々強風によって千切られた積雲の片が太陽方向を流れることにより発生する珍しい大気光象も一瞬ですが見られました。これは次回ご紹介します。
年月日 2007/9/29
天気 晴れ
気温 7℃ (ロープウェイ山頂駅13:00発表)
雲量 4~8
CL=2, CM=0, CH=0
4Cu ~8Cu (刻々と変化)
以下、当日の雲の様子です。
1.下北半島方面(北方向)
雲の下部(雲底)が、やや黒みがかって、きれいに水平に広がっている積雲が見られました。 雲底高度は、目線(1350m位)よりやや高いくらいの高さです。雲の背の高さ(上方向への発達の程度)は、あまりありませんでした。写真の積雲は、風向と走行がほぼ同じで、ある間隔をおいて、数列、並列して見られました。
↑ 八甲田ゴードライン(標高 約1350m)から下北方面を望む(手前に見えるのは前岳1251.7m)
2.八甲田山系(南~東方向)
雲形は積雲で、下北半島方面(北方向)と同じ種類ですが、発達の程度は異なりました。下北半島方面の整然とした雲と対は照的に、前後左右あらゆる方向に発達したり消散したりして乱れた形の雲が多く、頭上で、目まぐるしく形を変えていました。
大岳(1584.4m)に目をやると、時々山頂付近に雲がかかっているのが見られました。
↑ 田茂萢岳周辺(1324m)から大岳を望む
午後からは、対流活動が活発となり、積雲が、もくもくとカリフラワー状に発達してきました。
3.岩木山
帰りがけ、岩木山の雲も観察しました。
山頂に雲がかかるかかからないか微妙な感じですので、雲底高度は1600-1700mくらいであると思われます。
↑尾上から岩木山(1625m)を望む
今回は、雲底高度に着目してみます。
雲底高度とは、地上付近から持ち上げられた空気が上空の冷たい空気に冷やされて、凝結し雲ができる高さです。そのため、もくもくと不規則な形状をしている雲の上部とは対照的に、雲の底は、きれいに水平になっていることが多いものです。
今回の観測では、雲底の高さは、1500-1800m位と推定されましたが、実は、観測をしなくても、ある程度は、事前に予測することができるのです。
気象用語に「持ち上げ凝結高度(Lifted Condensation Level)」というものがありますが、これは、高層観測のデータから計算できます。
例えば、9/29 9:00の三沢基地における「持ち上げ凝結高度(以下LCLと記す)」は、ワイオミング大学HPで出力した高層観測データによると、
LCL=833.9hPa (1592m)です。
三沢は、八甲田の風下であり距離も離れていますから、ピッタンコというわけにはいきませんが、おおよそ、実際に観測された高度と同じであることが分かります。
山登りされる方やスカイスポーツをされる方は、高層観測のデータは、とても参考になるのではないでしょうか。
高層観測データの入手先はこちらです。
regionではsouth east asia を選ぶと日本各地のデータを出力できるようになります。(LCLの計算値も図の端に記載されて出力されます。)
次に、高層観測データがなくても、おおよそ雲底高度を見積もることができる簡単な計算式をご紹介します。henningの公式です。
H=125(T-Td) ...eq.1
where
H : 雲底高度(m)
T :地上気温(℃)
Td:地上の露点温度(℃) ←気温と湿度がわかれば計算できます。
※露点温度とは、その温度まで温度を下げると大気中の水蒸気が凝結して水滴となる温度のことです。わかりやすく言えば、冬に窓ガラスが曇りますが、夜間になってガラス表面の気温が低下していき、曇り始める温度ということもできるかと思います。
eq.1 によれば、地上の気温と露点温度の差(これを一般に湿数と呼ぶ)を125倍すれば、持ち上げ凝結高度になるというわけです
これは、現実の複雑な気温、露点温度の鉛直分布を無視して、単純に地上の気温と露点温度のみを用いていますので、現実の世界では、あてはまらないことも多いのですが、晴天時の日中であれば、意外と、それなりの値がでます。
例えば、今回の場合、計算してみると次のとおりとなります。
青森地方気象台の地上気象観測値(9/29 12:00)
によれば、T= 19.5℃ TD=6.3℃ です。
これを eq.1 に代入してみましょう。
H = 125* (T-TD) = 1650m
驚いたことに、おおよそ、観測された雲底高度と一致しています。
最後に、参考までに、三沢基地の9/29 09:00JSTのエマグラムをご紹介します。
↑高層気象観測に基づくエマグラム 三沢基地 9/29 09:00JST
ワイオミング大学HPより出力
場所は、八甲田ロープウェイ山頂駅~田茂萢岳周辺。
当日観測された雲をご紹介します。
当日の天気は、晴れていたものの、風が強かったため、対流雲が次から次へと流れてきて、目まぐるしく形を変えていました。 また、時々強風によって千切られた積雲の片が太陽方向を流れることにより発生する珍しい大気光象も一瞬ですが見られました。これは次回ご紹介します。
年月日 2007/9/29
天気 晴れ
気温 7℃ (ロープウェイ山頂駅13:00発表)
雲量 4~8
CL=2, CM=0, CH=0
4Cu ~8Cu (刻々と変化)
以下、当日の雲の様子です。
1.下北半島方面(北方向)
雲の下部(雲底)が、やや黒みがかって、きれいに水平に広がっている積雲が見られました。 雲底高度は、目線(1350m位)よりやや高いくらいの高さです。雲の背の高さ(上方向への発達の程度)は、あまりありませんでした。写真の積雲は、風向と走行がほぼ同じで、ある間隔をおいて、数列、並列して見られました。
↑ 八甲田ゴードライン(標高 約1350m)から下北方面を望む(手前に見えるのは前岳1251.7m)
2.八甲田山系(南~東方向)
雲形は積雲で、下北半島方面(北方向)と同じ種類ですが、発達の程度は異なりました。下北半島方面の整然とした雲と対は照的に、前後左右あらゆる方向に発達したり消散したりして乱れた形の雲が多く、頭上で、目まぐるしく形を変えていました。
大岳(1584.4m)に目をやると、時々山頂付近に雲がかかっているのが見られました。
↑ 田茂萢岳周辺(1324m)から大岳を望む
午後からは、対流活動が活発となり、積雲が、もくもくとカリフラワー状に発達してきました。
3.岩木山
帰りがけ、岩木山の雲も観察しました。
山頂に雲がかかるかかからないか微妙な感じですので、雲底高度は1600-1700mくらいであると思われます。
↑尾上から岩木山(1625m)を望む
今回は、雲底高度に着目してみます。
雲底高度とは、地上付近から持ち上げられた空気が上空の冷たい空気に冷やされて、凝結し雲ができる高さです。そのため、もくもくと不規則な形状をしている雲の上部とは対照的に、雲の底は、きれいに水平になっていることが多いものです。
今回の観測では、雲底の高さは、1500-1800m位と推定されましたが、実は、観測をしなくても、ある程度は、事前に予測することができるのです。
気象用語に「持ち上げ凝結高度(Lifted Condensation Level)」というものがありますが、これは、高層観測のデータから計算できます。
例えば、9/29 9:00の三沢基地における「持ち上げ凝結高度(以下LCLと記す)」は、ワイオミング大学HPで出力した高層観測データによると、
LCL=833.9hPa (1592m)です。
三沢は、八甲田の風下であり距離も離れていますから、ピッタンコというわけにはいきませんが、おおよそ、実際に観測された高度と同じであることが分かります。
山登りされる方やスカイスポーツをされる方は、高層観測のデータは、とても参考になるのではないでしょうか。
高層観測データの入手先はこちらです。
regionではsouth east asia を選ぶと日本各地のデータを出力できるようになります。(LCLの計算値も図の端に記載されて出力されます。)
次に、高層観測データがなくても、おおよそ雲底高度を見積もることができる簡単な計算式をご紹介します。henningの公式です。
H=125(T-Td) ...eq.1
where
H : 雲底高度(m)
T :地上気温(℃)
Td:地上の露点温度(℃) ←気温と湿度がわかれば計算できます。
※露点温度とは、その温度まで温度を下げると大気中の水蒸気が凝結して水滴となる温度のことです。わかりやすく言えば、冬に窓ガラスが曇りますが、夜間になってガラス表面の気温が低下していき、曇り始める温度ということもできるかと思います。
eq.1 によれば、地上の気温と露点温度の差(これを一般に湿数と呼ぶ)を125倍すれば、持ち上げ凝結高度になるというわけです
これは、現実の複雑な気温、露点温度の鉛直分布を無視して、単純に地上の気温と露点温度のみを用いていますので、現実の世界では、あてはまらないことも多いのですが、晴天時の日中であれば、意外と、それなりの値がでます。
例えば、今回の場合、計算してみると次のとおりとなります。
青森地方気象台の地上気象観測値(9/29 12:00)
によれば、T= 19.5℃ TD=6.3℃ です。
これを eq.1 に代入してみましょう。
H = 125* (T-TD) = 1650m
驚いたことに、おおよそ、観測された雲底高度と一致しています。
最後に、参考までに、三沢基地の9/29 09:00JSTのエマグラムをご紹介します。
↑高層気象観測に基づくエマグラム 三沢基地 9/29 09:00JST
ワイオミング大学HPより出力
by yt-otenki
| 2007-10-12 23:59
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