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北東北発 気象予報士&防災士によるブログ。忘れたころに、たま~に更新してます


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大きな二重虹

今年の8月はすっきりしない天気で、不安定性降雨が多かったですね。
天気は晴れベースなのに、時々雨が降ったり止んだりの繰り返し。
こんな時は、虹を見る機会が増えます。
一日に何度も出たり消えたり。

日中は低い所に小さく見えていますが、日の入りの頃には特大サイズに。見ごたえたっぷりです!
明るいのが主虹、暗いのが副虹です。

撮影2014.8, 大館市 (1枚目の写真のみ合成)
大きな二重虹_d0021097_17291585.jpg

大きな二重虹_d0021097_17302992.jpg

大きな二重虹_d0021097_1731518.jpg
大きな二重虹_d0021097_17312635.jpg

市立総合病院から虹が出ています。


〇せっかくなので、ちょこっと虹の科学!

(場所・大きさ)
虹の出る場所は太陽を背にしてその反対方向。対日点を中心に視半径40~42°(外側の赤色が約42°、内側の青色が約40°)です。 22°ハロ(日暈)の約2倍もあるので、その大きさに圧倒されます。
ただし、日中は太陽高度が高いので対日点は地平線のずっと下にあり、虹はあまり大きく見えません(山の稜線にかかる橋のように見えるタイプ)。これに対して、日没時は対日点が地平線付近にあるので、虹の大きさは最大になります。 

(季節・時間)
虹の大きさは対日点を中心として視半径が約42°なので、太陽高度が42°よりも高い時は見えません。

よって、虹を見ることができるのは下記のとおり(北緯40°の場合)、
・春分、秋分の日: 日の出~10時、14時~日の入り
・夏至の日: 日の出~8時、15時半~日の入り
・冬至の日: 日の出~日の入り(ただし降水粒子が液体の時のみ)

 ※夏の夕立、晩秋~初冬の時雨の時に、比較的見る機会が多いように思えます。


(なぜカラフルなのか)
太陽光はもともといろいろな色が混ざった白色。太陽光が、大気中を落下する雨滴(または浮遊する水滴)に入射するとき、光は屈折しますが、この屈折の度合い(屈折率)は光の色(波長)によって異なるため、水滴の外側から内側へ光が入る時と水滴の内側から外側へ光が出てくるときに、色毎に進む方向が変化します。よって、もともと白色だった太陽光が、赤、オレンジ、黄、緑、青のように分光して見えます。
(光が水滴の内側に入るとき屈折①→水滴内で反対方向に反射①→水滴の外側に出るとき屈折②

(二重虹)
虹が二重に見える場合、明るいほうを主虹、暗いほうを副虹といいます。主虹は水滴内で屈折2回、反射1回ですが、副虹は水滴内で屈折2回、反射2回です。このため、対日点を中心に視半径50~54°の大きさで虹が見えます。主虹に比べて幅が広く暗く見えます。

(なぜ環の部分だけが明るいのか)
光線が球面の水滴に入るとき、「ある特定の点」の付近から入射する場合のみ、水滴の外側へ光線が出る時、どの光線もすべて一定の方向に集中して進む性質があります。「ある特定の点」から離れた場所に入射する場合は、光線が水滴の外側へ出るとき、それぞれバラバラの方向に進みます。よって、球面水滴の、「ある特定の点」の付近から入射した光のみが、水滴の外側へ出るときに特定の方向に光が集中し強まって見えるので、明るい光の環が見えることになります。これが虹です。

(追いかけてもなぜ虹の足元に追いつけないのか)
光の環(虹)は、空間の特定の場所にある水滴から出てくる光ではなく、空に広く分布する無数の水滴の光を集めたものだからです。
by yt-otenki | 2014-09-30 21:00 | 大気光象